トレンドトピックス

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不動産不況による不動産融資の焦付き

不動産不況による不動産融資の焦付き問題はまずS&L問題を発生させ、その悪影響が商業銀行全体に及んでいる。

 

直接的には不動産融資の焦付きに対応した貸倒引当金の積み増しが純利益を圧迫する。

それが講じて、不動産融資残高の大きい銀行の債券格付けが大幅に下がる。

債券の格付けが下がると銀行自身の資金調達の条件は悪化させ、それが、クレジットクランチ(金融機関の貸し渋りによる金融逼迫)を起こしている。

 ここで、S&L(Savings & Loan Associations)とは小口の消費者預金を受入れ、この源資を不動産担保貸付などで運用する中小金融機関で日本の信用金庫、信用組合に似ており、全米で約3000あると言われている。

当初は不動産担保貸付以外の資金運用は認められなかったが、80年代初めの規制緩和の動きの中で、融資対象が拡大され、第2次石油危機後に南西部を中心にエネルギー開発ブームに伴う旺盛な資金需要に対応た。

しかし、86年以降の逆オイルショックによる南西部経済の低迷で、ずさんな融資による焦げ付きが一気に表面化した。

政府がS&L救済に必要な財政支出は、向こう30年間で5000億ドルとも言われ、財政赤字増加の原因となっている。